2012年11月20日火曜日

オーロラのしくみ オーロラ中継 Live!オーロラ


オーロラのしくみ Live!オーロラ
(実はとても難しいオーロラのしくみを、サイエンスプロデューサー/エンジニアの古賀祐三が、複数の科学者達に学び2001年に独自にまとめたコンテンツです。)








今では当コンテンツがたくさんの書籍やコンテンツ、映像作品の参考にされていますが、この内容は全くの素人であったわたしが、「オーロラについて知りたい順番」、「わからない順番」等を素人目線でまとめたものです。よって科学者書籍や監修作品とは全くことなる構成ですが、よりわかりやすいと思います。

また、オーロラ科学は未だ全容は解明されていません。さらに解明されている部分も実は非常に難易度が高い高等科学であるため、素人でもわかる範囲に重点をおいてまとめてあり、今後時間をかけてまとめ直すことにしております。


執筆・製作・著作:古賀祐三(Live!オーロラ主宰遊造代表) 
監修・協力 (敬称略):久保田実(情報通信研究機構)、坂野井和代(駒澤大学) 
修正監修 (敬称略):上出洋介(名古屋大学名誉教授)

オーロラ発生のしくみ(オーロラ発電所) - Live!オーロラ

第六章・オーロラ発生のしくみ (オーロラのしくみ)

6-4 オーロラ発電所


太陽風中の荷電粒子が、地球の磁場内に進入しました。
 ここから、荷電粒子中の電子がなんらかの影響にて、地球の磁力線に沿って、地球上空に降り注ぎます。 



オーロラ発電に関係する磁力線のみ描いています

~ 磁力線に沿って電子が落ちてくる「オーロラオーバル形成」 ~
 上のアニメーションを見てください。「北から見た動き」を見ると磁力線は、夕方側と明け方側双方で、電子を含む荷電粒子を抱えながら回転運動をしています。
 そして、その磁力線が地球と接する部分を表すと、下の図のように「オーロラオーバル」を形成していることがわかります。

 太陽風に含まれる電子は、この磁力線に沿って運動します。そして”パラパラ”と地球大気に降り注ぎオーロラを発生させます。

オーロラオーバルと磁力線


~ 地球磁場(荷電粒子)の回転運動が起こす発電 ~

 私たちが地上、しかも肉眼で見るオーロラは、ある程度明るいものでなければなりません。 
 肉眼で見て、「おぉ明るいオーロラだ~」と感じるようなオーロラは、これから説明する「オーロラ発電」が引き起こすものです。 
(オーロラブレークアップと呼ばれる、さらに明るいオーロラは、もっと複雑なしくみで発生します) 





 上のアニメーションでは、太陽風の影響を受けて運動する地球の磁場の様子を、北から見たフレームをあわせて表現しています。
 これを見ると、地球の磁力線は、前にも説明しましたが水色の線で表しされた軌跡のように、回転運動をすることがわかります。



北から見た磁場内の電位差
 太陽風に含まれた(プラス・マイナスの電荷をもった)荷電粒子は、磁力線と同じ軌跡で運動するため、 学校の理科や物理の授業でおなじみの、”フレミングの左手の法則”より、右の図のように、北から地球を見ると、明け方側に、プラスの電荷をもった粒子が、 そして、夕方側には、マイナスの電荷をもった粒子がたまることになります。





【オーロラ回路完成→放電】 
(電子が流れる向きは、電流の向きと逆方向)
 太陽風がさらに地球へ吹きつづけると、明け方側と夕方側のプラス・マイナスの差(電位差)が大きくなり、 発電の準備が完了します。

 夕方側と明け方側の電位差(でんいさ)、そして磁力線と地球を結ぶ回路が完成した段階で、電子は夕方側から磁力線に沿って、地球に向かいます。 
(電子が流れる向きは、電流の向きと逆方向)

 そして地球大気中の酸素原子や窒素分子と衝突→励起(れいき)→発光でオーロラが発生するのです。 

 この発電では、上で説明した”パラパラ”と降り注ぐ電子よりはるかに高速で、かつ、大量の電子が地球大気へ向かいます。
 よって、明るいオーロラが生まれます。





 またまた、あれ?と思った方がいるかもしれません。(私は、科学者の方から説明を受けて、あれ?と思いました)
 夕方側から地球へ電子が向かい、大気と衝突→発光が起きる。そして電子は明け方側へ向かい、磁力線に沿って、今度は、宇宙へ流れるのかな・・? 
(オーロラオーバルの夕方側では、地球大気に流れてきた電子がオーロラを発光させる。そして明け方がわでは、地球大気から宇宙方面へ飛び出す電子がオーロラを発光させ るの・・?) 

 答えは”NO"でした。
 磁力線に沿って地球に降り注ぎ、大気粒子と衝突した電子は、衝突によりエネルギーを消耗してしまい、次に大気粒子と衝突しても、発光を起こすことは、 あまりないのです。
 このオーロラ発電では、オーロラオーバルの中で”夕方側”のみでオーロラを発生させます。



オーロラ発生のしくみ(磁場の窓2) - Live!オーロラ


第六章・オーロラ発生のしくみ (オーロラのしくみ)

6-3 磁場の窓2


~ 太陽がふき出す、磁場 ~

太陽の磁場に地球の磁場が覆われている
  太陽も地球と同様に磁場が存在します。しかし、太陽の磁場の形状は、地球とは異なり非常に複雑な形状をしています。
 また、太陽の磁場は、太陽風と同様に、地球どころか太陽系全体を越える範囲で広がっています。
 つまり、地球の磁場は、太陽の磁場に包まれている状況ともいえます。
太陽から、磁力線と太陽風がふき出す

太陽の磁力線に沿って動く荷電粒子
 太陽の磁場が、複雑な形状であることや、広範囲に広がっている理由はいろいろありますが、 その中の1つは、上の左図のように太陽面での爆発からふき出す太陽風によって、磁場が宇宙に運ばれるということがあります。 

 また、太陽風中の荷電粒子は、磁力線に沿って移動する性質をもっています。 

~ 磁場の接触によってできる磁場の窓 ~ 

 前の章で、地球の磁場内には、太陽風は入ることができず、オーロラが地球の磁場内(地上で見るオーロラは地球の磁場内)で発生するためには、 地球の磁場に”太陽風中の電子を通す窓”がなければならないと説明しました。

  その窓は、太陽風に運ばれる太陽の磁場と、地球の磁場が接触することによって生まれるのです。 

 太陽の磁場と地球の磁場が接触する様子を見てみましょう。 




 上のアニメーションは、磁力線の中で、オーロラ発生と関連があるところだけ描画しています。 このアニメーションを見ると、荷電粒子(赤色の丸)を含む太陽風によって運ばれた太陽の磁力線が、地球の磁力線と黄色の丸の部分で接触・結合すると、地球の磁場内に 荷電粒子が、 磁力線に沿って進入する様子がわかると思います。

さて、地球の磁場の中へ、太陽風中の荷電粒子が入るしくみがわかりました。
 では、地球磁場へ進入した荷電粒子が、どのような経緯でオーロラを発生させるのでしょうか。 



オーロラ発生のしくみ(磁場の窓1) - Live!オーロラ


第六章・オーロラ発生のしくみ (オーロラのしくみ)

6-2 磁場の窓1


~ 磁場の窓1「昼がわの磁場のすきま」 ~


 地球の磁場の形は、この図のように太陽風の影響で、太陽と反対方向へなびくように、 変形しています。
昼がわの磁場のすき間

 そして、地球の昼の部分では、微量の太陽風が磁北極や磁南極周辺の磁場のすき間から入ることができます。
 しかし、オーロラのほどんどは、この昼がわから入ってくる太陽風ではなく、夜がわからやってくる電子で発生します。


地上にいるわたし達は、当然夜にならないとオーロラを見ることができません。

 オーロラが発光するための電子を含む太陽風は、地球の昼がわでは磁場のすき間から、微量に入ってきます。
そして、夜がわでは、地球の磁場の中からやってきた電子が、オーロラを発生させます。

夜がわからやってくる電子

 オーロラのほどんどを発生させる、夜がわからやってくる電子は、当然太陽風に含まれるものですが、「6-1太陽風」で説明したように、地球の磁場は、 太陽風を進入させません。
 ということは、地球の磁場には、昼がわのすき間以外のどこかに、太陽風中の荷電粒子を進入させる”窓”があるはずです。

 その”窓”は、太陽風に含まれる、”太陽の磁場”と関係があります。


オーロラ発生のしくみ(太陽風) - Live!オーロラ



第六章・オーロラ発生のしくみ (オーロラのしくみ)

6-1 太陽風

 直径は地球の約100倍もあり、常にばく大な”太陽風と言われるエネルギーを放出している太陽。 
 そのエネルギーは、太陽から1億5千万Km以上も離れたわたし達の地球どころか、 太陽系を越える範囲に、達しています。


~ 太陽風の存在と彗星(すいせい)の尾 ~ 
【彗星の尾は太陽と反対に向いている】
 「太陽から、何か”風”のようなものが吹き出しているのではないか・・」と推測されたのは、「彗星(すいせい)」の存在でした。
 彗星には、ご存知の通り、「尾」があります。最近は一般的に知られるようになりましたが、この彗星の尾は、常に彗星から見て太陽と 反対側へ向いています。
 ある科学者は、この彗星の尾を観測し、「太陽から何か風のようなものが吹き出しているに違いない」と推測しました




~ 太陽風の中には、「荷電粒子(かでんりゅうし)」(プラズマ)がある ~ 

 オーロラは、地球大気の粒子と、電子が衝突して発光します。その電子は、太陽風に含まれているのです。
 太陽風には、マイナスの電荷をもつ電子の他、プラスの電荷をもつ粒子も含まれています。それらの粒子を総じて、 プラズマ粒子または、荷電粒子と呼びます。

 また、太陽で、大きな爆発があったとき、それから2~3日後に、太陽風の荷電粒子は地球に到達すると言われています。 


~ 地球の磁場の壁と太陽風 ~ 

【荷電粒子は、磁場を横切れない】
 太陽風に含まれる荷電粒子が、オーロラを発生させることは、わかりました。
 しかし、オーロラ発生のしくみで、ここからが一番難しく、現代科学でも”解明されていない謎”があるところです。 

 地球はご存知の通り、北と南を結ぶ”大きな磁石”とたとえられることがあります。
 磁石には、”磁場(じば)”という、磁石の力が及ぶ領域があります。 当然地球にも磁場が存在します。
 そして、その磁場は、太陽風中の荷電粒子から、地球を守る”バリア”の役目があるのです。


 あれ?と思った方がいるかもしれません。荷電粒子を通さない、地球磁場のバリアがあったら、オーロラは、 発生しないのでは・・?

オーロラが光るしくみ(どこから電子が?) - Live!オーロラ

第五章・オーロラの形 (オーロラのしくみ)

5-3 どこから電子が?

 大気を発光させる電子は、どこからやってくるのでしょうか。それは”太陽”から、荷電粒子(プラズマ粒子)としてやってきます。
【例:荷電粒子(かでんりゅうし)は太陽からやってくる】
 太陽からやってきた電子は、”ある経路(けいろ)”をたどり、北極周辺や南極周辺の上空へ、超高速で降り注ぎます。 

 その”経路(けいろ)”を知るためには、地球の磁場(じば)、そして太陽から降り注ぐ”風”を知る必要があります。
太陽から降り注ぐ”風”を太陽風(たいようふう)と呼びます。 


オーロラが光るしくみ(大気のネオンサイン) - Live!オーロラ



第五章・オーロラが光るしくみ (オーロラのしくみ)

5-1 大気のネオンサイン

オーロラは、大気中の物質が発光する現象です。大気中の物質が発光する現象には、 「大気光(たいきこう)」(参考:科学の大百科 大気光」 )という自然現象があります。オーロラも大気光の1つと言われています。 

 大気が発光すると言っても、普通の人には理解しづらいものです。科学者がよく例に出すのが“ネオンサイン”。
 これは、ネオンサインの発光のしくみと、オーロラが発光するしくみが同じということ、そしてネオンサインもオーロラと同じく 色を持つことが理由だと思いますが、筆者の感想では、「ネオンサインと言われても、ピンとこない。。」というものです。ただ、 まずはそのネオンサインの光とオーロラの説明をしてみましょう。 

 オーロラが発生する付近の大気には、酸素原子や酸素分子、窒素原子など様々な物質があります。
 それらの物質が発光するということは、どのようなことでしょう。 

 物質が発光する現象を利用したものでは、右の図のような”ネオンサイン”があります。 ネオンサインは、ネオン管と呼ばれる管の中に、”ネオンガス”という物質が入っており、そのネオンガスに 高速で電子を衝突させた時にピンク色で発光します。 
 オーロラも、ネオンサインのように、大気中の酸素原子や窒素原子などの物質に高速で電子が衝突して発光しているのです。 

~ 励起(れいき)という現象 ~ 

 大気中の物質に、電子が高速で衝突すると発光するしくみを酸素原子を例に、簡単に説明しましょう。 

 下の図のように、酸素原子に電子が高速(超高速!)で衝突します。すると、酸素原子は電子から運動エネルギーを 与えられ、通常の状態とは異なる不安定な状態、励起(れいき)状態になります。
 その後、酸素原子が緑色に発光する場合は、約0.7秒後に、正常な状態に戻ろうとして、余分なエネルギーを光として放出するのです。


酸素や窒素は、地球の大気層のどのあたりにも存在します。(勿論わたし達の周りの空気にも) その酸素や窒素が、なぜ北極周辺や、南極周辺の上空だけで、 発光するのでしょうか。
 その理由は、第6章で説明しましょう。

 実は、私たちが暮らす日本の上空100Km~400Km付近でも、大気光(たいきこう)という現象として、大気が発光しています。
 しかし、大気が大気光として発光するしくみと、オーロラとして発光するしくみは異なります。