第五章・オーロラが光るしくみ (オーロラのしくみ)
5-1 大気のネオンサイン
オーロラは、大気中の物質が発光する現象です。大気中の物質が発光する現象には、 「大気光(たいきこう)」(参考:科学の大百科 大気光」 )という自然現象があります。オーロラも大気光の1つと言われています。
大気が発光すると言っても、普通の人には理解しづらいものです。科学者がよく例に出すのが“ネオンサイン”。
これは、ネオンサインの発光のしくみと、オーロラが発光するしくみが同じということ、そしてネオンサインもオーロラと同じく 色を持つことが理由だと思いますが、筆者の感想では、「ネオンサインと言われても、ピンとこない。。」というものです。ただ、 まずはそのネオンサインの光とオーロラの説明をしてみましょう。
オーロラが発生する付近の大気には、酸素原子や酸素分子、窒素原子など様々な物質があります。
それらの物質が発光するということは、どのようなことでしょう。
物質が発光する現象を利用したものでは、右の図のような”ネオンサイン”があります。 ネオンサインは、ネオン管と呼ばれる管の中に、”ネオンガス”という物質が入っており、そのネオンガスに 高速で電子を衝突させた時にピンク色で発光します。
オーロラも、ネオンサインのように、大気中の酸素原子や窒素原子などの物質に高速で電子が衝突して発光しているのです。
~ 励起(れいき)という現象 ~
大気中の物質に、電子が高速で衝突すると発光するしくみを酸素原子を例に、簡単に説明しましょう。
下の図のように、酸素原子に電子が高速(超高速!)で衝突します。すると、酸素原子は電子から運動エネルギーを 与えられ、通常の状態とは異なる不安定な状態、励起(れいき)状態になります。
その後、酸素原子が緑色に発光する場合は、約0.7秒後に、正常な状態に戻ろうとして、余分なエネルギーを光として放出するのです。
酸素や窒素は、地球の大気層のどのあたりにも存在します。(勿論わたし達の周りの空気にも) その酸素や窒素が、なぜ北極周辺や、南極周辺の上空だけで、 発光するのでしょうか。
その理由は、第6章で説明しましょう。
実は、私たちが暮らす日本の上空100Km~400Km付近でも、大気光(たいきこう)という現象として、大気が発光しています。
しかし、大気が大気光として発光するしくみと、オーロラとして発光するしくみは異なります。